鶏にまつわるこれまでの経緯
最近我が家では、五月から飼い出した名古屋コーチンの動向が目まぐるしい。
(今は亡きニクオスとニクメス)
最初から、順を追って述べてゆく――
第一次野狐襲来
五月下旬、朝方、ニクオスとニクメス(初代のつがい)を裏庭に放していると、異常な鳴き声が聞こえ、慌てて見に出てみると、狐が二羽を追いかけまわしていた。私の姿を見とめた狐は恨めしそうに裏山へ引き下がっていったが、この一件でニクメスが背中に傷を負う。
アオダイショウ侵入
六月中旬、ニクメスの傷も癒えてきた頃、何日も卵が見当たらない時期があり、おかしいと思い見回っていると、鶏小屋に侵入してきたアオダイショウと鉢合わせする。こいつが食っていたのかと鍬で殺しにかかるも、間一髪で逃げられる。ニクオス、ニクメスに直接の被害はなかった。
ニク丸一号誕生
六月下旬、初めての雛が孵卵器で孵る。ニク丸一号と命名。保温電球を設置した段ボールで飼育する。
第二次野狐襲来 ニクオスニクメス死す
同じく六月下旬、アオダイショウの再度侵入を懸念して、鶏小屋の戸を開けたままで外出外泊、明け方帰るとやけに静まり返っており、変だと思い裏庭に出ると、引き裂かれ息絶えたニクオスが横たわっていた。ニクメスの姿はなく、裏山に続く斜面に羽だけが幾つも落ちていた。
犯人は、狐に違いなかった。一度目にこちらの姿を見せていたので、当分来ないと踏んだのが間違いだった。惜しいことをした。
ニク丸二号誕生
ニクオスとニクメスがやられてしまったため、食べようと思って冷蔵庫に入れていた卵を急遽孵卵器に掛けたところ、七月上旬、無事に孵る。ニク丸二号と命名。
雛用ブリコラージュ小屋完成
七月中旬、ニク丸一号が大きくなってきたので、段ボールハウスを卒業させようと思い、家にあった物や貰ってきた物で小屋を製作し、一号を移す。二号はひきつづき段ボールで飼育中。
――と、このように、この三ヶ月のあいだ、名古屋コーチンをめぐる数々の出来事に、私は一喜一憂し通しであった。
初代ニクオスニクメスには、私の迂闊さが元で可哀想なことをした(尤もゆくゆくは私が食べたのだが)。だがなんとか、彼らの血をつなぐことはできた。あとは、ニク丸一号二号が無事に成長し、且つオスメスであることを祈るばかりだ。