トークイベントのあとがき
去る6月26日、大阪は豊中の書店blackbird booksさんにて、『つち式』*1の創刊記念トークイベントを開催した。
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【追記】
イベント音源は録音ミスにより失われたと書いたが、参加者として来ていた友人である間宮尊が別で録音してくれていたことが判明。Podcast「おむすびラジオ」にて配信する。
彼の天賦のマネージメント能力には目を見張る。おそらく今後、『つち式』にとってなくてはならない役割を担ってくれることになるだろう。
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本をつくるひと vol.5
「十全に生きるために」
『つち式』創刊記念トークイベント
人前で喋ることにさして苦手意識があったわけではないけれども、今回はわけが違った。自分が中心となってつくった本について何かを喋ることは、困難をきわめた。緊張のため、自分が何を喋ったのかいまいち覚えていない。おそらくは、本誌の内容や創刊に至った動機、わたしの日々の生活、里山や稲や鶏や身の回りの異種たちについて、思いつくまま支離滅裂に喋ったのではなかろうか。
わたしのふだんの生活は、同種である人間たちよりも異種生物たちと共にある。多分に土の上にある。そこから本誌を書いたのだが、言葉を書くとは当然社会的な行為だ。つまり本誌創刊によって、同種たちとも関わることが照準の一つである。
今回のイベントは、その初弾であった。その精度はともかく、創刊して間もないにもかかわらず開催できたこと、しかも満席となったこと、トーク後本誌を多く買っていただけたことは、『つち式』にとってこれ以上ない十全なはじまりといえるだろう。
ちなみに、このイベントの音声は録音して後日公開する予定であったが、聴いてみるとまったく音が入っていなかった。一時間半の無音。原因は不明だ。すこし残念な気もしたが、自分の拙い語りの証拠がなくなったこと、それを理由に公開せずに済んだことで、ホッとしたというのが正直なところである(もし楽しみにしていた方があればすみません)。
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入稿前から本誌の取扱いとイベント開催を快諾してくださったblackbird booksさん、当日おむすびを握ってくださった豆椿さん、お越しいただいた皆さん、本当にありがとうございます。
この半年間、本誌製作に全面的に協力してくれた、西田有輝、石躍凌摩、豊川聡士の三名にも、あらためて謝意を表したい。『つち式』はわたし一人では到底つくることができなかった。
また、本誌の表紙絵や挿絵の作者であり、わたしに野良仕事の伊呂波を親身に教えてくださった、故森下正雄さんにもあらためて心からお礼を申し上げたい。
そして、日々、田畠においてわたしに強い印象と推力と霊感を与えてくれている多くの生き物たちにも、ありがとう。
blackbird booksさん
季節といなり 豆椿さん