数日前の暮れ方、畠にある栗の木の切り株に、セミの幼虫が這い上がってくるのに出くわしました。

f:id:shhazm:20160708230155j:image

 種類までは不案内でわかりませんが、ものによっては十数年、土のなかで暮らすのもあるとか。あまたの危機をくぐりぬけ、満を持して地上に出てくるのでしょう。

 それを思えば、夏の暑さを助長するかのようなセミの声も、ちょっとはありがたがらなあかんなと少年の頃考えていたことを、羽化する場所をもとめて、ゆっくりと歩む幼虫をながめながら、思い出しました。

 せっかくなので翌朝、早起きして羽化の瞬間を見ようと思っていたら、寝過ごしました。その日は仕事で、夕方になってから見に行くと、切り株の下に抜け殻が落ちていました。

 無事に成虫になったのだなという安堵と、なんとなく置いて行かれたようなさびしさがありました。だんだんあたりは暗くなり、生ぬるい風が吹いてくるのでした。