2017-01-01から1年間の記事一覧

日記「ほなみちゃん」

十二月丗日(土) 晴れ。 棚田の整備、昼飯、縁側で昼寝、麦踏み、あそびにきた教え子どもと焚き火、棚田の整備、帰宅して来年用の種籾の脱穀。 (種籾の脱穀を手で行う) ✳︎ 年末ということで、人間社会はなんとなく浮ついた独特の空気になるが、里山は年末…

日記「幸福の証明」

十二月十六日(土) 曇り時々小雨。 終日黒豆の脱穀をした。 (十一月、熟すのが遅く、一株残した黒豆に入り日がさしていた) ✴︎ 黒豆は、先の青豆と比べて量がなかったから、全部手で莢をはずした。足踏み脱穀機を使ってもよかったのだが、手を動かしながら…

日記「何も言いたくなくなる」

十二月三日(日) 快晴。 ゆうべは川上村の友人宅で大豆の選別作業、そのまま泊まって、今朝十時すぎに大宇陀に帰ってくる。鶏に餌やり、脱穀した米の天日干し、黒豆の残りを収穫、昼飯、米の取り込み、草刈り、棚田の法面の修復。 (筵にひろげて干す) ✳︎ …

日記「エンヂンの音」

九月廿五日(月) 草刈り、刈り草集め、昼飯、英語の勉強、草刈り。 昨晩の「枝豆まつり*1」で飲んだから、一日の開始が幾分おそかった。 * わたしが田んぼを借りている家にこんな短歌が残っている。 エンヂンの音のみ響く 孤独なり継ぐ者無き田の畦草を刈…

日記「生前天国」

九月十七日(日) 颱風が直撃するというのでハナから休み気分で起きたら、全然雨が降っていない。それなら、ということで、見まわりとイナゴ*1捕りだけでもしようと田んぼに行く。行ったら行ったでじきに雨が降ってきて、早々に切り上げて帰ってきたらきたで…

日記「あたりまえに尊い」

九月十六日(土) 颱風接近にともなう雨で野良仕事ができずにずっと家にいる。朝からビールを飲みながら、アマゾンプライムで海外ドラマ(『ダウントン・アビー』)を見たり、小説(『存在の耐えられない軽さ』)を読んだりするが、退屈をしのぎきれない。 …

さようなら

一時の人恋しさで誰かに会ってもいいことはない。そう経験則として知ってはいるものの、こう一気に秋めいては閉口する。 大切な人を先日亡くした。 森下さん、享年九十二。 一昨年、大宇陀に移り住んだばかりの右も左もわからないわたしに、病いをおして野良…

至福の反復としての里山生活

今年も夏がきて、米作りの仕事が増えてきた。 わたしはいま、棚田に水をためるための畦塗りを順次すすめている。土と水と天気を相手に、相談し、挌闘し、懐柔し、歎願しながら、和解してゆくのがおもしろい。 (畦塗りをしてそこに大豆を播く。刈り草を乾燥…

鶏を育てて絞めて捌いて食った

先日、飼っている名古屋コーチン*1をはじめて食った。 昨年十月に雛で買ってきたから、生後約半年、この鶏種でちょうど若鶏にあたる。卵をぼちぼち産みだしたところで、こんなに早くつぶす予定はなかったのだが、調子がわるくなり*2、恢復の見込みがなかった…

米を作ってから来い

米を自分の手足*1で作っていない者の言うことは、とりあえず聞かなくてもよいとわたしは思っている。 考えてもみてほしい、生存必需品の筆頭たる食糧を、(作ろうと思えば作れるにもかかわらず)自分で作らないままに発せられる言葉とはいったい何か。米を作…

味噌を仕込んで

立春に入ったきょう、はじめて自分で作った大豆で味噌を仕込んだ*1。 大豆栽培・味噌作りは、わたしにとって米作りに次ぐ重大事である。 これら二つは、自給生活における「食」カテゴリーの仕事の最優先事項であるばかりでなく、下位を大きく引き離している…

若さの安売りについて

起きているあいだは、意識しないときでさえ、俺はずっとイライラしている。それが長く続いているせいで、アイデンティティの基調にすらなっているほどだ。 同世代への苛立ちがその最たるものである。以下はだいぶ前に書いた文章だが、さっき読み返してみて現…

「無政府米」栽培宣言

権威には楯突かねばならない。 どんなものであれ、あらゆる権威は悪である*1。権威を揮うことや持とうとすることはいうまでもなく、権威に擦り寄ることも、権威に屈することさえも、おしなべて悪である。 人の上に立つことも、人の下に立つことも、まったく…