2016-01-01から1年間の記事一覧

自給行為にまつわる骨抜き問題について

きのう、鶏舎の柵の扉が完成した。その野趣に富むデザインはわれながら見事だと思っている。 そこでドヤ顔でfacebookに投稿した。 しかし、この投稿の、以前の綿花についての投稿よりも反響がすくなかったことは、ある種の「ズレ」をわたしに感じさせる。 た…

耕さない農耕

わたしが畠をするのは、農業の道を極めたいからではない。はたまた、自身の健康や食の安全を目がけているのでもない。まして商売のためでは全然ない。 わたしは、生活をある程度自給したいと思っている。そしてその先で、人間の生身と風土の側から文化を建て…

十一月の作業予定

ここ数ヶ月は大阪に行く用なども多かったし、なんとなくそういう気分でもなかったから、表立って手伝いを募ってはいなかった。それが今度は誰かとともに作業したい気分になってきたので、ふたたび「協力隊」を募集する。 予想される作業内容 落花生の収穫 竹…

鶏舎建設まとめ

先日、ようやく鶏小屋が完成した。 おもえば、三月末に建てはじめてから五ヶ月もかかった。といっても、梅の咲きのこる時分に柱だけ立てて、それから七月末までは完全に放置していた。すぐに農繁期に入り、構っていられなかったのである。柱を立てれば、忙し…

もってこいの日

今朝、外に出てみると、昨夜の大雨が嘘のように、空は青く、空気はいやに乾いて澄んでいる。颱風10号が、この辺一帯のあらゆる湿性のものを連れ去ったらしい。地上の一切のものは洗われて、清潔にきらめいていた。 気温も低い。まるで秋だ。夏も颱風に引っぱ…

夏の夜の対流圏

大宇陀の夏の夜はすばらしい。おそらくは標高や地形の加減で、昼と夜の気温差が著しいこの土地では、夏の盛りであっても夜になれば涼しくなる。 ここでは熱帯夜になる夜はほとんどない。それゆえ夜間はクーラーなどいらない(事実、わが家をふくめクーラーを…

棚田全段流し素麺ふりかえり

八月十五日、棚田を全段使って流し素麺をした。 全長は100メートルほどだろうか。大量の竹を切ってきて、炎天下、皆で割り、節を抜き、継いで、棚田に渡すまでの作業はなかなかの重労働だった。 はじめての試みだったこともあり、当初の想定より時間がかかっ…

日記 八月二日(平成廿八年)

晴れ時々曇り、夕方に驟雨。 ✳︎ 寝坊。8時から畠に出て野菜の世話など。10時、森下さんを診療所に迎えにいったのち、水利組合の集金(今年は森下さんが担当)の運転手。そのまま昼食をご馳走になり、森下さんをお家に送り届けたのち、木陰で昼寝、読書。 15…

明日、死ぬかもしれないということ

時折、現世への、またこの生への興味がさっと引いてゆき、何をする気も起こらなくなることがある。 こういう気分はたまにやってくる。ある時はこれが鬱というやつかと思ったこともあるが、そういうものとはどうも違うらしい。気がふさぐわけではない。ただた…

ステキな行方不明

行方不明! なんと甘美な響きだろう。ニュースなどでこの一語を見聞きするたびに、僕はつねづねそう思ってきた。 われわれは生きているかぎり、日々履歴を積み上げてしまう。それは人を支えもするが、制約しもする。僕にはそれが煩わしくなって、世間からも…

日記 七月廿四日(平成廿八年)

晴れ、ときどき曇り。 ✳︎ 6時半起床。最寄りのコンビニで買ったコーヒーを飲みながら『南の島のティオ』(池澤夏樹著)を読みすすめる。8時から、野菜の世話、田んぼの草取り、米ぬか撒き。11時、一旦帰宅し昼食、読書。12時半、再び田んぼの草取り、等々。1…

日記 七月十七、十八日(平成廿八年)

(ゴマダラカミキリ) 十七日 曇りときどき雨 ✳︎ 午前、野菜の世話、水田の草取り。午後、友人が来てくれたので鶏小屋の建設作業。 十八日 終日晴れ ✳︎ 午前、陸田の草刈り(手鎌)。午後、もう一つの畠の世話、畦草刈り(刈払い機)。 —————— 田植えが終わ…

日記 七月十四日(平成廿八年)

未明に雨、のち曇り時々晴れ、夕方に小雨。 ✳︎ 早朝、田んぼの巡回と野菜の世話をひとしきり。その後昼まで棚田の草刈り。一旦帰宅、昼飯。きょうはさほど暑くなく、シャワーも昼寝もなし。昼からも日没まで棚田の草刈り。 (雲が多かった) —————— きょうは…

日記 七月十二日(平成廿八年)

曇り、時々雨、のち晴れ。 9時頃から雨との予報が昨晩から出ていたので、それまで草刈りをしようと思っていたら、夜更かしが祟って寝坊、8時前に起床。意気くじけて、森下さんを迎えにいくまでのあいだ、コンビニのコーヒーをすすりながら書きかけの文章を進…

日記 七月十日(平成廿八年)

概ね晴れ。 6時、森下さんの村の草刈りと溝の泥上げ(この辺ではこういうのを「出合い」と呼ぶ)に代理で出る。10時頃に解散後、田んぼの見まわり、つづいて昼すぎまで今季最後(今度こそ!)の黒豆を播種(もうやめとこうと思っていたのだが、種と畝が余っ…

日記 七月九日(平成廿八年)

未明から大雨。 早朝に田んぼの点検だけ済ませ、帰宅、家をすこし掃除。車で森下さんを診療所に迎えにゆく。ついでに役場に寄り、参院選の期日前投票を済ませる。森下さんを送り届けた後、榛原の目医者にコンタクトレンズの検診に行く。帰りにコンビニでコー…

数日前の暮れ方、畠にある栗の木の切り株に、セミの幼虫が這い上がってくるのに出くわしました。 種類までは不案内でわかりませんが、ものによっては十数年、土のなかで暮らすのもあるとか。あまたの危機をくぐりぬけ、満を持して地上に出てくるのでしょう。…

日記 七月七日(平成廿八年)

早朝から、刈払い機で森下さんのところの草刈り。あまりに暑くなってきたので、手鎌に持ちかえ11時頃から昼までお家の裏の斜面(日陰になっている)の草刈り。この時点で汗だく。 一旦帰ってシャワー、ビール、昼飯(この時期は素麺にかぎる)、昼寝。 15時…

アレロケミカルがありあまる(日記)

前回の「日記」で、フェロモン (生物の同種個体間に作用する物質) の圏域への、わたしの欲求について触れた。わたしにとってものを書くことは、ニンゲンという同種個々体へむけた、ほとんど一方的な発信であると。そして、わたしがそうせずにいられなかっ…

六月の作業予定

農繁期、月日はあれよあれよという間にすぎてゆく。予定を書く間もないまま六月に入ってしまった。 旧暦でも明後日から五月、暦のうえではすでに夏に入っている。春、淡かった陽射しは日増しに濃くなり、それに応えるように草たちもつぎつぎに伸びてくる。も…

日記 五月廿五日(平成廿八年)

書くということ――それが自分にとってたいへんな重要事なのだと、ここ一二ヶ月、ほとんど野良仕事にのみ時間をついやしているあいだ、感じつづけていた苛立ちによって思い知った。 わたしはこれまで、他人に見せられるかどうかの自分のなかの一線を超えたもの…

「東の田舎暮らし協力隊」詳細

多くの地域もすなる「協力隊」といふものを、わたくしもしてみむとてするなり。 今年から、畠を増やし、米づくりや養鶏もはじめ、自然についての知識もついてきて、すべきことやしたいことが山ほどある。そこで、早い話が、諸々の作業を手伝ってくれる人員が…

廿八年度の作戰まとめ

28年度におこなう予定である、「野性奪還」にむけた三つの主な「作戦」について、これまで個別に掲載してきた。 時間が経過し、変更ないし進行した箇所もあるので、それぞれ続報を書かねばならないと思っているのだが、年度替わりにあたり、とりあえずここに…

すごもりびと とをひらく

季節は二十四節気で「啓蟄」、七十二候では「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」である。春らしい気候になり、まさに暦どおり、畠ではカエルやトカゲの姿が見られるようになってきた。 梅や椿や蕗や、その他無数の植物たちも花を咲かせ、ひしめきあい、地…

貪婪なわたしたち

わたしたちの世代は、しばしば年長の世代から「欲がない」と非難気味に評されてきた。さすがに現在ではそうした声はすくなくなったが、いまだに耳にすることもある。 そうした声に対する、わたしたちの反応ないし反論は、「ほしいものがちがう(変わった)」…

実生活に関する覚書き

もったいつけて、ヨガだ座禅だ瞑想だの(その他多くの同種行為)を生活にとりいれ、挙句これ見よがしに持ちだしているうちは、人類はまだまだなのだろう。わざわざそんな面倒なことをせねば、宇宙の原理(みたいなもの)にいまだ触れられないとは、じつに嘆…

『微花』に寄せる

去る先週の日曜日、友人でもある微花(@kasuka___)の二人のトークイベントに、なぜか突然行かねばならない気がして行ってきた。その予感はあたっていて、聴きにいってほんとうによかった。 ✴︎ 『微花(かすか)』は、社会的な分類にしたがえばZine、リトル…

破壊に関する覚書き

廃墟マニアと呼ばれる人たちが増えているらしい。廃墟に特有の美を見たり、好奇心から探検の対象としたり、往時に思いを馳せ諸行無常を感じたりと、人によって廃墟への興味の持ちようはさまざまだろう。かくいう私も、廃墟マニアとまではいかないが、打ち捨…

精神の新陳代謝

原理的にいえば、精神の新陳代謝を賦活することで、日々を奇跡の連続として知覚しうる。 米を毎日旨く感じるように、朝ごとの太陽のかがやき、夜ごとの星々のきらめき(曇りならばその雲の運行)などにも、我々は毎日感嘆できるはずなのだ。だがやはり、米を…

この世の最上の娯楽

およそ世で娯楽と呼ばれるものを、わたしは楽しめたことがない。楽しめたとしても、決してその楽しさが長続きしたことはなかった。 わたしが田舎に移り住み、多くのものを自給しようとしているのには、こうした事情が大いに関係している。 われわれの文明に…