野性奪還戰線

奈良の大宇陀に移住してきたやつのブログ

至福の反復としての里山生活

今年も夏がきて、米作りの仕事が増えてきた。 わたしはいま、棚田に水をためるための畦塗りを順次すすめている。土と水と天気を相手に、相談し、挌闘し、懐柔し、歎願しながら、和解してゆくのがおもしろい。 (畦塗りをしてそこに大豆を播く。刈り草を乾燥…

鶏を育てて絞めて捌いて食った

先日、飼っている名古屋コーチン*1をはじめて食った。 昨年十月に雛で買ってきたから、生後約半年、この鶏種でちょうど若鶏にあたる。卵をぼちぼち産みだしたところで、こんなに早くつぶす予定はなかったのだが、調子がわるくなり*2、恢復の見込みがなかった…

米を作ってから来い

米を自分の手足*1で作っていない者の言うことは、とりあえず聞かなくてもよいとわたしは思っている。 考えてもみてほしい、生存必需品の筆頭たる食糧を、(作ろうと思えば作れるにもかかわらず)自分で作らないままに発せられる言葉とはいったい何か。米を作…

味噌を仕込んで

立春に入ったきょう、はじめて自分で作った大豆で味噌を仕込んだ*1。 大豆栽培・味噌作りは、わたしにとって米作りに次ぐ重大事である。 これら二つは、自給生活における「食」カテゴリーの仕事の最優先事項であるばかりでなく、下位を大きく引き離している…

若さの安売りについて

起きているあいだは、意識しないときでさえ、俺はずっとイライラしている。それが長く続いているせいで、アイデンティティの基調にすらなっているほどだ。 同世代への苛立ちがその最たるものである。以下はだいぶ前に書いた文章だが、さっき読み返してみて現…

「無政府米」栽培宣言

権威には楯突かねばならない。 どんなものであれ、あらゆる権威は悪である*1。権威を揮うことや持とうとすることはいうまでもなく、権威に擦り寄ることも、権威に屈することさえも、おしなべて悪である。 人の上に立つことも、人の下に立つことも、まったく…

自給行為にまつわる骨抜き問題について

きのう、鶏舎の柵の扉が完成した。その野趣に富むデザインはわれながら見事だと思っている。 そこでドヤ顔でfacebookに投稿した。 しかし、この投稿の、以前の綿花についての投稿よりも反響がすくなかったことは、ある種の「ズレ」をわたしに感じさせる。 た…

耕さない農耕

わたしが畠をするのは、農業の道を極めたいからではない。はたまた、自身の健康や食の安全を目がけているのでもない。まして商売のためでは全然ない。 わたしは、生活をある程度自給したいと思っている。そしてその先で、人間の生身と風土の側から文化を建て…

十一月の作業予定

ここ数ヶ月は大阪に行く用なども多かったし、なんとなくそういう気分でもなかったから、表立って手伝いを募ってはいなかった。それが今度は誰かとともに作業したい気分になってきたので、ふたたび「協力隊」を募集する。 予想される作業内容 落花生の収穫 竹…

鶏舎建設まとめ

先日、ようやく鶏小屋が完成した。 おもえば、三月末に建てはじめてから五ヶ月もかかった。といっても、梅の咲きのこる時分に柱だけ立てて、それから七月末までは完全に放置していた。すぐに農繁期に入り、構っていられなかったのである。柱を立てれば、忙し…

もってこいの日

今朝、外に出てみると、昨夜の大雨が嘘のように、空は青く、空気はいやに乾いて澄んでいる。颱風10号が、この辺一帯のあらゆる湿性のものを連れ去ったらしい。地上の一切のものは洗われて、清潔にきらめいていた。 気温も低い。まるで秋だ。夏も颱風に引っぱ…

夏の夜の対流圏

大宇陀の夏の夜はすばらしい。おそらくは標高や地形の加減で、昼と夜の気温差が著しいこの土地では、夏の盛りであっても夜になれば涼しくなる。 ここでは熱帯夜になる夜はほとんどない。それゆえ夜間はクーラーなどいらない(事実、わが家をふくめクーラーを…

棚田全段流し素麺ふりかえり

八月十五日、棚田を全段使って流し素麺をした。 全長は100メートルほどだろうか。大量の竹を切ってきて、炎天下、皆で割り、節を抜き、継いで、棚田に渡すまでの作業はなかなかの重労働だった。 はじめての試みだったこともあり、当初の想定より時間がかかっ…

日記 八月二日(平成廿八年)

晴れ時々曇り、夕方に驟雨。 ✳︎ 寝坊。8時から畠に出て野菜の世話など。10時、森下さんを診療所に迎えにいったのち、水利組合の集金(今年は森下さんが担当)の運転手。そのまま昼食をご馳走になり、森下さんをお家に送り届けたのち、木陰で昼寝、読書。 15…

明日、死ぬかもしれないということ

時折、現世への、またこの生への興味がさっと引いてゆき、何をする気も起こらなくなることがある。 こういう気分はたまにやってくる。ある時はこれが鬱というやつかと思ったこともあるが、そういうものとはどうも違うらしい。気がふさぐわけではない。ただた…

ステキな行方不明

行方不明! なんと甘美な響きだろう。ニュースなどでこの一語を見聞きするたびに、僕はつねづねそう思ってきた。 われわれは生きているかぎり、日々履歴を積み上げてしまう。それは人を支えもするが、制約しもする。僕にはそれが煩わしくなって、世間からも…

日記 七月廿四日(平成廿八年)

晴れ、ときどき曇り。 ✳︎ 6時半起床。最寄りのコンビニで買ったコーヒーを飲みながら『南の島のティオ』(池澤夏樹著)を読みすすめる。8時から、野菜の世話、田んぼの草取り、米ぬか撒き。11時、一旦帰宅し昼食、読書。12時半、再び田んぼの草取り、等々。1…

日記 七月十七、十八日(平成廿八年)

(ゴマダラカミキリ) 十七日 曇りときどき雨 ✳︎ 午前、野菜の世話、水田の草取り。午後、友人が来てくれたので鶏小屋の建設作業。 十八日 終日晴れ ✳︎ 午前、陸田の草刈り(手鎌)。午後、もう一つの畠の世話、畦草刈り(刈払い機)。 —————— 田植えが終わ…

日記 七月十四日(平成廿八年)

未明に雨、のち曇り時々晴れ、夕方に小雨。 ✳︎ 早朝、田んぼの巡回と野菜の世話をひとしきり。その後昼まで棚田の草刈り。一旦帰宅、昼飯。きょうはさほど暑くなく、シャワーも昼寝もなし。昼からも日没まで棚田の草刈り。 (雲が多かった) —————— きょうは…

日記 七月十二日(平成廿八年)

曇り、時々雨、のち晴れ。 9時頃から雨との予報が昨晩から出ていたので、それまで草刈りをしようと思っていたら、夜更かしが祟って寝坊、8時前に起床。意気くじけて、森下さんを迎えにいくまでのあいだ、コンビニのコーヒーをすすりながら書きかけの文章を進…

日記 七月十日(平成廿八年)

概ね晴れ。 6時、森下さんの村の草刈りと溝の泥上げ(この辺ではこういうのを「出合い」と呼ぶ)に代理で出る。10時頃に解散後、田んぼの見まわり、つづいて昼すぎまで今季最後(今度こそ!)の黒豆を播種(もうやめとこうと思っていたのだが、種と畝が余っ…

日記 七月九日(平成廿八年)

未明から大雨。 早朝に田んぼの点検だけ済ませ、帰宅、家をすこし掃除。車で森下さんを診療所に迎えにゆく。ついでに役場に寄り、参院選の期日前投票を済ませる。森下さんを送り届けた後、榛原の目医者にコンタクトレンズの検診に行く。帰りにコンビニでコー…

数日前の暮れ方、畠にある栗の木の切り株に、セミの幼虫が這い上がってくるのに出くわしました。 種類までは不案内でわかりませんが、ものによっては十数年、土のなかで暮らすのもあるとか。あまたの危機をくぐりぬけ、満を持して地上に出てくるのでしょう。…

日記 七月七日(平成廿八年)

早朝から、刈払い機で森下さんのところの草刈り。あまりに暑くなってきたので、手鎌に持ちかえ11時頃から昼までお家の裏の斜面(日陰になっている)の草刈り。この時点で汗だく。 一旦帰ってシャワー、ビール、昼飯(この時期は素麺にかぎる)、昼寝。 15時…

アレロケミカルがありあまる(日記)

前回の「日記」で、フェロモン (生物の同種個体間に作用する物質) の圏域への、わたしの欲求について触れた。わたしにとってものを書くことは、ニンゲンという同種個々体へむけた、ほとんど一方的な発信であると。そして、わたしがそうせずにいられなかっ…

六月の作業予定

農繁期、月日はあれよあれよという間にすぎてゆく。予定を書く間もないまま六月に入ってしまった。 旧暦でも明後日から五月、暦のうえではすでに夏に入っている。春、淡かった陽射しは日増しに濃くなり、それに応えるように草たちもつぎつぎに伸びてくる。も…

日記 五月廿五日(平成廿八年)

書くということ――それが自分にとってたいへんな重要事なのだと、ここ一二ヶ月、ほとんど野良仕事にのみ時間をついやしているあいだ、感じつづけていた苛立ちによって思い知った。 わたしはこれまで、他人に見せられるかどうかの自分のなかの一線を超えたもの…

「東の田舎暮らし協力隊」詳細

多くの地域もすなる「協力隊」といふものを、わたくしもしてみむとてするなり。 今年から、畠を増やし、米づくりや養鶏もはじめ、自然についての知識もついてきて、すべきことやしたいことが山ほどある。そこで、早い話が、諸々の作業を手伝ってくれる人員が…

廿八年度の作戰まとめ

28年度におこなう予定である、「野性奪還」にむけた三つの主な「作戦」について、これまで個別に掲載してきた。 時間が経過し、変更ないし進行した箇所もあるので、それぞれ続報を書かねばならないと思っているのだが、年度替わりにあたり、とりあえずここに…

すごもりびと とをひらく

季節は二十四節気で「啓蟄」、七十二候では「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」である。春らしい気候になり、まさに暦どおり、畠ではカエルやトカゲの姿が見られるようになってきた。 梅や椿や蕗や、その他無数の植物たちも花を咲かせ、ひしめきあい、地…

貪婪なわたしたち

わたしたちの世代は、しばしば年長の世代から「欲がない」と非難気味に評されてきた。さすがに現在ではそうした声はすくなくなったが、いまだに耳にすることもある。 そうした声に対する、わたしたちの反応ないし反論は、「ほしいものがちがう(変わった)」…

實生活に關する覺書き

もったいつけて、ヨガだ座禅だ瞑想だの(その他多くの同種行為)を生活にとりいれ、挙句これ見よがしに持ちだしているうちは、人類はまだまだなのだろう。わざわざそんな面倒なことをせねば、宇宙の原理(みたいなもの)にいまだ触れられないとは、じつに嘆…

『微花』に寄せる

去る先週の日曜日、友人でもある微花(@kasuka___)の二人のトークイベントに、なぜか突然行かねばならない気がして行ってきた。その予感はあたっていて、聴きにいってほんとうによかった。 ✴︎ 『微花(かすか)』は、社会的な分類にしたがえばリトルプレス…

破壞に關する覺書き

廃墟マニアという人たちが増えているらしい。廃墟に特有の美を見たり、好奇心から探検の対象としたり、往時に思いを馳せ諸行無常を感じたりと、人によって廃墟への興味の持ちようはさまざまだろう。かくいう私も、廃墟マニアとまではいかないが、打ち捨てら…

精神の新陳代謝

原理的にいえば、精神の新陳代謝を賦活することで、日々を奇跡の連続として知覚しうる。 米を毎日旨く感じるように、朝ごとの太陽のかがやき、夜ごとの星々のきらめき(曇りならばその雲の運行)などにも、我々は毎日感嘆できるはずなのだ。だがやはり、米を…

この世の最上の娯樂

およそ世で娯楽と呼ばれるものを、わたしは楽しめたことがない。楽しめたとしても、決してその楽しさが長続きしたことはなかった。 わたしが田舎に移り住み、多くのものを自給しようとしているのには、こうした事情が大いに関係している。 われわれの文明に…

卵・肉自給作戰概要

今年、我々は再び養鶏を試みる。 存命中のニクオスとニクメス 「再び」というのは、一時期私は名古屋コーチンを飼っていたのだが、親鳥は野狐に襲われ、雛は病気にかかり、全滅してしまったのだ。(※その頃の模様は以下の記事に書いた) yaseikaifuku.hatena…

衣服自給作戰概要

来年、食糧に加えて、我々は衣服の自給にも取り掛かりたいと思っている。 衣服を自給する理由、そんなことはもはや述べるまでもないだろう。文化の基本要素の一つである衣服を自給することは、文化の主権を我々の手に取り戻すうえで、避けては通れぬ道である…

同居人募集の報

ーーーーー追記(平成28年2月) 予定どおり、二月より下記の新居「四郷屋」に住みはじめた。ひきつづき、同居人を募集している。 ーーーーー 今年の四月に越してきたばかりだが、来年の二月頃に、同じ大宇陀内で新たに家を借りて引っ越すことにした(この辺…

大宇陀禮讚

今年の四月、私は奈良県宇陀市大宇陀(旧大宇陀町)に越してきたが、どれだけ大宇陀が良いところであるかをここに書きたいと思う。 ※住んでまだ一年も経っていないので事実誤認があるかもしれない。一新米移住者の正直な感想と取ってもらえれば幸いである。 …

原初的にして次なるものが萌した週末

先週末、大阪などから四名が畠を手伝いに来てくれた。 朝からひたすら豌豆を播いてゆく。 気持ちのよい晴天も手伝ってか、五人で掛かると作業はあっという間に片づいてゆく。 焚火を囲んでの昼飯。献立は、前夜に仕込んでおいたハヤシライス。 昼からも空は…

一般参加者に占める女子の割合が男子のそれを上回った野生部の第四回活動報告

先週の土曜日(十七日)、野生部は第四回目の活動を実施した。 今回は、あらたに借り受けた棚田に、陸稲の裏作として蚕豆(ソラマメ)の種を播いた。 播種は、このように法面と平行する曲線をとり、その線に沿って点播きで行った。 こちらの棚田でも、栽培法…

十月の野生部

十月の野生部は、通常通り第一日曜、第三土日の計三日間でやる。 十月からこの冬にかけては、来年度からの野菜栽培本格化に向けて、畠に関することを主に行う予定だ。新たに借り受ける畠地の開墾、畝立て、腐葉土づくり、等々である。 十月の活動日 四日 十…

主食自給作戰概要

来年、つまりこちらに移住して二年目は、うるち米の自給栽培に乗り出したいと思っている(無論、今春から始めている野菜の栽培も継続し、収量増加、規模拡大を図るつもりだ)。 (陸稲栽培予定地の棚田) すでに遊休田を借受ける話はつけてある。あとは、今…

「全ては土から得られる」

きょうの私は、気持ちのいい晴天も手伝ってか、いつになく晴れ晴れとした気分だったので、休みであるにもかかわらず、気分に任せて日がな一日野良仕事に精を出した。べつに気分が乗らずとも畠はするのだが、きょうは身体がひとりでに動くかのように、夢中で…

今のところ東京からしか人が来ていない野生部の第三回活動報告

先週の日曜日(六日)、野生部は第三回目の活動を実施した。 なお、本記事の表題は噓ではない。今回含めこれまで、世話人三名をのぞいた一般参加者は計二名であるが、両名とも東京在住なのである。遠路遥々首都から参加してくれた両人には謝辞を述べたいが、…

九月の野生部

九月の野生部は、通常どおり第一日曜、第三土日の計三日間でやる。 主な活動内容は見ての通り、前回取りかかった物置小屋の完成を目指す。それが終われば次は、シャワー小屋の製作に移りたいと思っている。 九月の活動日 六日(世話人集会日) 十九日 廿日 &…

柿渋づくり

先週末の野生部の活動事項として予定していたものの時間切れでできなかった柿渋づくりを、きのう一人で行った。 まず庭の青柿を高枝鋏で収穫。我が家のものは今年外れ年らしく、四本ある柿の木からたったの三キロしか採れず。 それを袋に入れて槌で粉砕。 漬…

野生部第二回の活動報告

去る先週の日曜日(08/16)、野生部では第二回目の活動を実施した。参加者は三名、内二名は世話人の二人で、もう一人はなんと東京在住の女子が参加してくれ、畠の物置小屋作りを行った。 以下、その模様である。 朝、今回は全員がうちに前泊していたので、七…

夏野菜採れだす

ようやく我が畠でも夏野菜が採れだした。 (暮れ方の畠) 四月に越してきて、耕作放棄地のゴミ取りと畝立てから始めた畠は、数々の作物が植わってすっかり畠然としている。 農法は、川口由一氏の自然農に習って、不耕起、不除草、不潅水、不施薬、不施肥、で…