棚田全段流し素麺ふりかえり

八月十五日、棚田を全段使って流し素麺をした。 全長は100メートルほどだろうか。大量の竹を切ってきて、炎天下、皆で割り、節を抜き、継いで、棚田に渡すまでの作業はなかなかの重労働だった。 はじめての試みだったこともあり、当初の想定より時間がかかっ…

日記 八月二日(平成廿八年)

晴れ時々曇り、夕方に驟雨。 ✳︎ 寝坊。8時から畠に出て野菜の世話など。10時、森下さんを診療所に迎えにいったのち、水利組合の集金(今年は森下さんが担当)の運転手。そのまま昼食をご馳走になり、森下さんをお家に送り届けたのち、木陰で昼寝、読書。 15…

明日、死ぬかもしれないということ

時折、現世への、またこの生への興味がさっと引いてゆき、何をする気も起こらなくなることがある。 こういう気分はたまにやってくる。ある時はこれが鬱というやつかと思ったこともあるが、そういうものとはどうも違うらしい。気がふさぐわけではない。ただた…

ステキな行方不明

行方不明! なんと甘美な響きだろう。ニュースなどでこの一語を見聞きするたびに、僕はつねづねそう思ってきた。 われわれは生きているかぎり、日々履歴を積み上げてしまう。それは人を支えもするが、制約しもする。僕にはそれが煩わしくなって、世間からも…

日記 七月廿四日(平成廿八年)

晴れ、ときどき曇り。 ✳︎ 6時半起床。最寄りのコンビニで買ったコーヒーを飲みながら『南の島のティオ』(池澤夏樹著)を読みすすめる。8時から、野菜の世話、田んぼの草取り、米ぬか撒き。11時、一旦帰宅し昼食、読書。12時半、再び田んぼの草取り、等々。1…

日記 七月十七、十八日(平成廿八年)

(ゴマダラカミキリ) 十七日 曇りときどき雨 ✳︎ 午前、野菜の世話、水田の草取り。午後、友人が来てくれたので鶏小屋の建設作業。 十八日 終日晴れ ✳︎ 午前、陸田の草刈り(手鎌)。午後、もう一つの畠の世話、畦草刈り(刈払い機)。 —————— 田植えが終わ…

日記 七月十四日(平成廿八年)

未明に雨、のち曇り時々晴れ、夕方に小雨。 ✳︎ 早朝、田んぼの巡回と野菜の世話をひとしきり。その後昼まで棚田の草刈り。一旦帰宅、昼飯。きょうはさほど暑くなく、シャワーも昼寝もなし。昼からも日没まで棚田の草刈り。 (雲が多かった) —————— きょうは…

日記 七月十二日(平成廿八年)

曇り、時々雨、のち晴れ。 9時頃から雨との予報が昨晩から出ていたので、それまで草刈りをしようと思っていたら、夜更かしが祟って寝坊、8時前に起床。意気くじけて、森下さんを迎えにいくまでのあいだ、コンビニのコーヒーをすすりながら書きかけの文章を進…

日記 七月十日(平成廿八年)

概ね晴れ。 6時、森下さんの村の草刈りと溝の泥上げ(この辺ではこういうのを「出合い」と呼ぶ)に代理で出る。10時頃に解散後、田んぼの見まわり、つづいて昼すぎまで今季最後(今度こそ!)の黒豆を播種(もうやめとこうと思っていたのだが、種と畝が余っ…

日記 七月九日(平成廿八年)

未明から大雨。 早朝に田んぼの点検だけ済ませ、帰宅、家をすこし掃除。車で森下さんを診療所に迎えにゆく。ついでに役場に寄り、参院選の期日前投票を済ませる。森下さんを送り届けた後、榛原の目医者にコンタクトレンズの検診に行く。帰りにコンビニでコー…

数日前の暮れ方、畠にある栗の木の切り株に、セミの幼虫が這い上がってくるのに出くわしました。 種類までは不案内でわかりませんが、ものによっては十数年、土のなかで暮らすのもあるとか。あまたの危機をくぐりぬけ、満を持して地上に出てくるのでしょう。…

日記 七月七日(平成廿八年)

早朝から、刈払い機で森下さんのところの草刈り。あまりに暑くなってきたので、手鎌に持ちかえ11時頃から昼までお家の裏の斜面(日陰になっている)の草刈り。この時点で汗だく。 一旦帰ってシャワー、ビール、昼飯(この時期は素麺にかぎる)、昼寝。 15時…

アレロケミカルがありあまる(日記)

前回の「日記」で、フェロモン (生物の同種個体間に作用する物質) の圏域への、わたしの欲求について触れた。わたしにとってものを書くことは、ニンゲンという同種個々体へむけた、ほとんど一方的な発信であると。そして、わたしがそうせずにいられなかっ…

六月の作業予定

農繁期、月日はあれよあれよという間にすぎてゆく。予定を書く間もないまま六月に入ってしまった。 旧暦でも明後日から五月、暦のうえではすでに夏に入っている。春、淡かった陽射しは日増しに濃くなり、それに応えるように草たちもつぎつぎに伸びてくる。も…

日記 五月廿五日(平成廿八年)

書くということ――それが自分にとってたいへんな重要事なのだと、ここ一二ヶ月、ほとんど野良仕事にのみ時間をついやしているあいだ、感じつづけていた苛立ちによって思い知った。 わたしはこれまで、他人に見せられるかどうかの自分のなかの一線を超えたもの…

「東の田舎暮らし協力隊」詳細

多くの地域もすなる「協力隊」といふものを、わたくしもしてみむとてするなり。 今年から、畠を増やし、米づくりや養鶏もはじめ、自然についての知識もついてきて、すべきことやしたいことが山ほどある。そこで、早い話が、諸々の作業を手伝ってくれる人員が…

廿八年度の作戰まとめ

28年度におこなう予定である、「野性奪還」にむけた三つの主な「作戦」について、これまで個別に掲載してきた。 時間が経過し、変更ないし進行した箇所もあるので、それぞれ続報を書かねばならないと思っているのだが、年度替わりにあたり、とりあえずここに…

すごもりびと とをひらく

季節は二十四節気で「啓蟄」、七十二候では「蟄虫啓戸(すごもりむしとをひらく)」である。春らしい気候になり、まさに暦どおり、畠ではカエルやトカゲの姿が見られるようになってきた。 梅や椿や蕗や、その他無数の植物たちも花を咲かせ、ひしめきあい、地…

貪婪なわたしたち

わたしたちの世代は、しばしば年長の世代から「欲がない」と非難気味に評されてきた。さすがに現在ではそうした声はすくなくなったが、いまだに耳にすることもある。 そうした声に対する、わたしたちの反応ないし反論は、「ほしいものがちがう(変わった)」…

実生活に関する覚書き

もったいつけて、ヨガだ座禅だ瞑想だの(その他多くの同種行為)を生活にとりいれ、挙句これ見よがしに持ちだしているうちは、人類はまだまだなのだろう。わざわざそんな面倒なことをせねば、宇宙の原理(みたいなもの)にいまだ触れられないとは、じつに嘆…

『微花』に寄せる

去る先週の日曜日、友人でもある微花(@kasuka___)の二人のトークイベントに、なぜか突然行かねばならない気がして行ってきた。その予感はあたっていて、聴きにいってほんとうによかった。 ✴︎ 『微花(かすか)』は、社会的な分類にしたがえばZine、リトル…

破壊に関する覚書き

廃墟マニアと呼ばれる人たちが増えているらしい。廃墟に特有の美を見たり、好奇心から探検の対象としたり、往時に思いを馳せ諸行無常を感じたりと、人によって廃墟への興味の持ちようはさまざまだろう。かくいう私も、廃墟マニアとまではいかないが、打ち捨…

精神の新陳代謝

原理的にいえば、精神の新陳代謝を賦活することで、日々を奇跡の連続として知覚しうる。 米を毎日旨く感じるように、朝ごとの太陽のかがやき、夜ごとの星々のきらめき(曇りならばその雲の運行)などにも、我々は毎日感嘆できるはずなのだ。だがやはり、米を…

この世の最上の娯楽

およそ世で娯楽と呼ばれるものを、わたしは楽しめたことがない。楽しめたとしても、決してその楽しさが長続きしたことはなかった。 わたしが田舎に移り住み、多くのものを自給しようとしているのには、こうした事情が大いに関係している。 われわれの文明に…

卵・肉自給作戰概要

今年、我々は再び養鶏を試みる。 存命中のニクオスとニクメス 「再び」というのは、一時期私は名古屋コーチンを飼っていたのだが、親鳥は野狐に襲われ、雛は病気にかかり、全滅してしまったのだ。(※その頃の模様は以下の記事に書いた) yaseikaifuku.hatena…

大宇陀礼讃

今年の四月、私は奈良県宇陀市大宇陀(旧大宇陀町)に越してきたが、どれだけ大宇陀が良いところであるかをここに書きたいと思う。 ※住んでまだ一年も経っていないので事実誤認があるかもしれない。一新米移住者の正直な感想と取ってもらえれば幸いである。 …

原初的にして次なるものが萌した週末

先週末、大阪などから四名が畠を手伝いに来てくれた。 朝からひたすら豌豆を播いてゆく。 気持ちのよい晴天も手伝ってか、五人で掛かると作業はあっという間に片づいてゆく。 焚火を囲んでの昼飯。献立は、前夜に仕込んでおいたハヤシライス。 昼からも空は…

一般参加者に占める女子の割合が男子のそれを上回った野生部の第四回活動報告

先週の土曜日(十七日)、野生部は第四回目の活動を実施した。 今回は、あらたに借り受けた棚田に、陸稲の裏作として蚕豆(ソラマメ)の種を播いた。 播種は、このように法面と平行する曲線をとり、その線に沿って点播きで行った。 こちらの棚田でも、栽培法…

十月の野生部

十月の野生部は、通常通り第一日曜、第三土日の計三日間でやる。 十月からこの冬にかけては、来年度からの野菜栽培本格化に向けて、畠に関することを主に行う予定だ。新たに借り受ける畠地の開墾、畝立て、腐葉土づくり、等々である。 十月の活動日 四日 十…

主食自給作戰概要

来年、つまりこちらに移住して二年目は、うるち米の自給栽培に乗り出したいと思っている(無論、今春から始めている野菜の栽培も継続し、収量増加、規模拡大を図るつもりだ)。 (陸稲栽培予定地の棚田) すでに遊休田を借受ける話はつけてある。あとは、今…